Human Development


第 6 回 発達科学シンポジウム

講演

21 世紀における世代間関係

小田利勝
(神戸大学発達科学部,人間科学研究センター)


概要

20 世紀の 100 年間がどんな時代で、そこにおける人間像、人間観がどのようなものであったかは、これから多くの人々が長い時間をかけて総括することになろうが、20 世紀の 100 年間と 21 世紀のこれからの 100 年間の違いは何かと問われれば、少なくとも日本に関してであれば、比較的簡単な答えを用意することができる、と私は考えている。 20 世紀の 100 年間は、その過程には紆余曲折があったにせよ、「成長・発展」を続けた 100 年間であった。 そして、また、「成長・発展」が続くことを当然のこととみなし、そのことへの期待と確信を持ち続けてきた/持ち続けることができた 100 年間であった。 この間に、さまざまな時代診断が行われ、人間と社会に関する時代的特質や病理現象が究明されてきたが、それらいずれにも共通していたのは社会の「成長・発展」が前提になっていたことである。 これに対して、21 世紀が 20 世紀ともっとも異なるところは、20 世紀の 100 年間にわたって社会システムが孕み続けてきた構造的矛盾が顕在化し、社会は「成長・発展」から「衰退・消滅」へ転換し始め、日本社会はその対応に苦慮し続ける 100 年間になるであろうということである。 こう述べたからと言って、バブル崩壊後の経済不況の過程で喧伝されている成長神話の崩壊といったような常識的、通俗的見解を繰り返そうというわけではないし、幼稚で自己満足的な対応策について語ろうというわけではない。 このシンポジウムでは、長期的な人口予測を手がかりにして、世代間関係に焦点を当てながら 21 世紀の人間と社会に関する議論のきっかけを提供したいと考えている。


発達科学シンポジウム 第 6 回

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