ワークショップ開催の趣旨:
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近年のゲノム研究の進展は著しいものがあります.その最先端の現状が
いったいどうなっているのか,それはまた,今後どのように進展していく
のか,あるいはまた,それらはどのような問題を孕んでいるのか,などに
ついて学び,考え,また討論することは,その分野の専門家のみならず,
現代社会に生き,人類の将来に思いを馳せるものにとって避けて通れない
課題です.
ここに,「ゲノム研究の進展と諸問題」をテーマに,今回は「構造と機能
の融合へ向けた植物ゲノム研究」に焦点をあてた発達科学ワークショップ
を開催することにいたします.
関心をもっていただける,教官,学生のみなさんの多数のご参加をお待ち
しています.
発達科学部研究推進委員会
第1講演のアブストラクト:
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Brachypodium distachyon: 牧草の機能ゲノム学のための新モデルとしての提唱 (35分)
Glyn Jenkins (Univ. of Wales Aberystwyth, UK)
イネ科牧草ゲノムの新モデルとして、イネ科のゲノム機能学の中心として提案する。
この Brachypodium distachyon(2n=10)を用いる利点は、は高頻度の組み換えを
生じ、双子葉植物でゲノム解析の中心であるアラビドプシスと同程度のゲノムサイ
ズを持ち、自殖性で、1年生植物でかつ生活環が4ヶ月と短い(イネは6ヶ月)。
また多くの雑種を扱うときや変異体を選抜する際の形質の利点も多い。胚様体
カルスへのボンバードメントによる形質転換系モ確立されている。以上の様な観点
から、新しい植物モデルを用いた、機能ゲノム学へのアプローチを探る。
また合わせて、これまで行ってきた植物における減数分裂期の染色体の動態に
関する研究成果についても紹介したい。
第2講演のアブストラクト:
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遺伝子高感度可視化技術によるゲノム解析 (15分)
近江戸伸子
ゲノム上で遺伝子や塩基を高感度に可視化する方法として、FISH法、GISH法、ファ
イバーFISH法、RCA法を開発した。特に、近年、染色体標本作成ならびにプローブ標
識法の改良によって、安定かつ高頻度に数キロベースのDNAプローブを検出すること
を可能にした。また高い空間分解能を持つDNAファイバー上で遺伝子領域を検出し、
定量的に解析することに成功した。本セミナーでは最近の可視化技術の進展によって
得られた植物ならびに動物ゲノム解析について紹介する。
第3講演のアブストラクト:
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可視化によるイネ科穀類のゲノミクス (25分)
向井康比己(大阪教育大学)
イネ科穀類では共通DNAマーカーをもとにイネを中心とした比較染色体マップが作ら
れている。この結果は、イネ科穀類が共通の祖先から由来し、遺伝子の並びもかなり
の部分で保存されていることを示している。今回は、BAC(バクテリア人工染色体)
クローンと可視化技術を用いたイネ科穀類のゲノミクスに関して、その基礎と応用に
ついて話題を提供する。GISH法は全ゲノムを包括的に可視化するのに最もよい方法で
ある。シコクビエが所属するオヒシバ属でのGISH法を用いた目で見るゲノム分析法を
紹介する。次に、タルホコムギにおけるデンプン合成に関わる遺伝子のFISH法による
染色体、DNAファイバー、BACクローン上の遺伝子マッピングの結果を述べ、イネにお
けるこれらの遺伝子の染色体上での並びと比較し、染色体当たりのDNAの大きさが20
倍も違うのにシンテニーがよく保存されていることを報告する。最後に、コムギの有
用遺伝子を含む巨大DNA断片をイネに導入する研究を紹介し、ゲノム融合によるコム
ギイネを育成する夢物語を話す。 |