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両親を支援する活動にかかわって

佐藤 眞子

自治体の教育・福祉に関連した審議会等の委員はこれまで多く引き受けてきたが、施策にかかわるだけでなく、学校や幼稚園、保育所、保健所等に出向いて、教員や専門職員、両親らの相談に応じるという活動も続けてきた。中でも子どもの教育に迷いや悩みをもつ両親への支援は若い時からの私自身の“重要テーマ”の一つである。両親が親として抱く不安や否定的な感情は個人の孤独と深く結びついているといわれる。行き詰って子どもにイライラをぶつけざるを得なかった両親が、相談室で悩みを語り、親自身が本来持っている力に気づくといったプロセスに寄り添うことは親への支援としてとても重要であると考えている。こうした個人への支援の他に、ここでは長期間続いている親子グループ活動への支援を二つ紹介したい。

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「極低出生児とその親のための教室」の様子1
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「極低出生児とその親のための教室」の様子2

現在もかかわりをもつ最も古くからの活動は、30数年前に始まったものである。知的障害のある就学前の子どもをもつ親たちと議論を重ね、「親子の会」の立ち上げに参加した。心理学を学ぶ大学院生であった私ともう一人の友人が親を支援する立場にあったが、今振り返ると私自身の20歳代、30歳代は、会の親たちに支援していただいていた立場であったといった方が正確であるかもしれない。この会はその後年月を重ね、発会当時の幼児は中年期を迎え、両親達は70歳を越える者も多くいる中で、互いを支える会として存続し、現在は「グループホーム」の実現に向けて取り組む日々である。

もう一つ比較的長く続いている親子活動への支援は、神戸大学 (医学部・発達科学部) と神戸市が協力して、平成6年度から開始した「極低出生児とその親のための教室」への取り組みである。この活動については、日本小児保健学会や日本心理臨床学会でも紹介したことがあるが、出生体重1500g以下の子どもとその養育に携わる親への子育て支援を目指し、常時4つの親子グループが活動できるようにプログラムを組んでいる。支援にあたるのは、医師、保育士、心理士など多職種であり、阪神間の大学の学生、院生も多数支援者として一翼を担っている。

家族機能の衰退がいわれ、「ダメな親」が増えたと語られる昨今であるが、育ちが保障されるべきは子どもに限らない。両親自身も子どもとともにあって豊かに発達していけるよう保障されなければならない。そのための両親への支援に、微力ではあっても、今後ともかかわっていきたいと思っている。

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