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神戸大学の社会教育主事講習

末本 誠

この8月4日、ようやく社会教育主事講習が終了した。この講習会は、文部科学大臣から神戸大学学長に委嘱された事業を当該の担当者のいる発達科学部を会場にして開かれたものである。受講者がそれぞれの自治体で社会教育主事の職に就くのに必要な資格を付与するための講習会であり、近畿一円の府県から34名が受講し、全員が6週間にわたる講習を無事終了した。社会教育主事というのは、自治体の教育委員会事務局に配置される教育的な専門職で、学校の指導主事と同様の立場で、社会教育に関する専門的な指導と助言を行うことを役割としている。教育的な観点から、地域の住民がその力を発揮するのを下支えする黒子である。

写真
社会教育主事講習の様子

講習会は6月の27日から始まり、受講生は学部内で朝から夕方までの講義を受けたほか、明石市や神崎町の宿泊施設を使った演習やスポーツの実習に参加したり、現地の実地調査などにも出かけた。いくつかのグループに分かれた演習では、主に発達科学部の教員がチューターを務めながら、所定の研究テーマについての実践的な研究を行った。グループのテーマは「地域づくりと社会教育」、「多文化共生と社会教育」、「生涯スポーツと社会教育」、「少子高齢社会と社会教育計画」の四つである。

社会教育および社会教育主事については教育基本法7条にその規定があり、またこれに基づいて社会教育法が制定されている。近年は生涯学習についての関心が高まる中で、地域における住民の学習機会を公的に保障する社会教育の役割が、改めて論議されるようになっている。社会教育主事は、自治体が関与しながら地域の住民が日常的な生活の中で直面するさまざまな課題の解決や教養の向上に資するために、専門的な立場から支援を行うことを役割とする。

この講習会は全国各地で開かれており、関西でも今年は滋賀大学が同様に開いている。講習の内容は文部科学省の規則によって一律に決定されているので、どの大学でも枠組みは同一だが、中身をどのように考えどのように組み立てるかは各大学の特色が現れる。神戸大学の特色は、自画自賛を含めていえば、社会的な不公正の是正への関心を強く持っていることや人間関係の暖かさであろうか。

暑い夏の日々を神戸大学のキャンパスで過ごした経験は、受講者には専門的な知識を獲得してもらう機会になることはもちろんだが、それにも増して重要なのは、お互いを知り合い仲間ができることである。例年、講習の終了後には、グループごとの同窓会が作られる。今年も、神崎での合宿に仕事を終えたOBが、わざわざ差し入れを持って駆けつけてくれた。こうした人のつながりは、主催する側にも何よりうれしいことである。

社会教育主事の職場は少人数の場合が多いために、各自治体に帰っても彼ら/彼女らは一人で広い地域を担当することが多い。兵庫県の山間部や大阪のコンクリートジャングルの中を一人で歩き回る彼ら/彼女らを、神戸大学という学びの場を介して得られたこうしたつながりが支え、勇気づけること。このことが、この講習会に関わるものにとっての喜びであり関心事である。

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