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日本Mathematicaユーザー会の運営に携わって

長坂 耕作

誰もが日常的にパソコンを利用する社会になり、昨今の研究教育分野における計算機の役割は大きく変わってきている。大規模で特殊な計算のみを計算機に行わせるのではなく、雑多な計算やデータの可視化など、日常的な利用が多様な分野に広がっている。

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その主役とも言える数式処理システムと分類されるソフトウェアでは、日常的で雑多な計算はもとより、一昔前にはスーパーコンピュータでなければ出来なかったような計算までが行える。その進歩は著しく、1960年代に開発が始められてから計算機の進歩と相まって、研究教育活動に不可欠な地位を築きつつある。日本数式処理学会では、これら数式処理の様々な研究活動が行われており、中等教育における数式処理システムの利用などは、人間の発達というテーマからも非常に興味深いものとなっている。

さて、非常に利便性や生産性の高いソフトウェアであるが、日本における認知度や利用度はあまり高いとは言えない。その主たる原因は、ソフトウェアが高機能でありすぎるがために、使い始める敷居が非常に高くなっていることにある (残念なことに、近年機能を絞り込んだ家電製品が開発されているのと同じく、大が小を兼ねるとは限らないのである)。このような問題を解決し、数式処理システムを使う環境の健全な発展に寄与することを目的として、2001年6月24日に日本Mathematicaユーザー会が設立された。総則から会の目的を抜粋しておく。

本会は、数式処理システム『Mathematica』の普及、研究、教育、啓発活動を通じて、日本における数式処理システムユーザーの公益のための活動を行い、中立性を維持し開かれた運営活動により、数式処理システムを使う環境の健全な発展に寄与することを目的とする。

日本Mathematicaユーザー会では次のような活動を通して、本来であれば計算機の進歩によって享受されるはずの、数式処理システム環境の発展に取り組んできており、設立時からの理事の一人として、それらの活動に参加できていることを嬉しく思う。

  1. 各地域での情報交換を行うためのワークショップ (兼チュートリアル) の開催
  2. インターネット上での情報交換を行うためのメールリストの運営
  3. リアルタイムな情報を提供するための講演会やサロンミーティングの開催
  4. その他,会の目的を達成するために必要な様々な活動

理事として、数多くのチュートリアルやテクニカルサポートを行ってきた経験から、多くの方々が数式処理システムの利用に前向きであるのに、技術的な問題から前に進めずにいるという現状が多々あることを痛感させられている。数式処理に関係する分野の研究者として、日本Mathematicaユーザー会という活動を通して、社会における数式処理システム環境の発展に今後も引き続いて取り組み、様々な分野における情報環境の改善に役に立ちたいと考えている。

なお、日本Mathematicaユーザー会に関する情報は、ユーザー会ウェブサイト <http://www.jp-mathusers.org/> に全て掲載されており、会員であれば、過去のワークショップ等の講演資料や講演ビデオ、メールリストの過去ログ検索などが行えるようになっている。

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