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春期国際声楽アカデミーの運営に携わって

佐々木 倫子

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2005年3月26日〜3月30日に神戸大学発達科学部のC・F棟で第5回春期国際アカデミーが開催され、実行委員長として私はこのアカデミーに関わることとなった。95名の参加者達は、国内外の講師達と共に、熱気に満ちた5日間を過ごした。

この声楽アカデミーは、私が会員 (理事) でもある日本発声指導者協会が主催で毎年行っているものであるが、通常の声楽のセミナーと大きく違うところは、若手の育成、声楽家のための演奏向上という目的と同時に、指導者に向けてのセミナーでもあるということである。演奏家のためのセミナーは各地でたくさん開かれているが、指導者を視野にいれたものは少ない。しかし、学校教育・合唱サークルなどの現場で悩みを抱える指導者は多い。今まで、それらの問題は、個人の経験や勘によるところで処理されてきている。発声指導者協会では、年2回の研究会で、声楽家・声楽指導者・ヴォイストレーナー・医者が集まりそれぞれの立場から研究発表することによって、より学際的な形で、発声法、表現法についての科学的な解決法に取り組んできている。それを協会員だけでなく、広く問題を抱える人たちにも研究の成果を提供しようというのもこのアカデミーの一つのねらいでもあった。

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関西では昔からのお稽古事の風習が残るのか、習い事には閉鎖的なところが強く残る。先生同士が、指導法を提供しあったり、また生徒がいろいろな先生に指導を受けられるようなオープンな土壌がない。そのために一つ迷路には入り込むと、そこから出られなくなるケースがよく見られる。もっとオープンに、また科学に裏打ちされた形で教育が行われねばならないというねらいで、このアカデミーでも独自のレッスン形式を取り入れている。それはパネルディスカッションという形で、個人レッスンで問題を解決しきれない生徒を複数の教授陣 (声楽家、ヴォイストレーナー、医者) でいろいろな提案をしながら指導していくものである。このような形をとることで、受講生だけではなく、指導者側もお互いに啓発されることが多く、今後の指導へのプラス材料としていくことが出来るのである。

今回のアカデミーでは、レッスンを受講された方だけでなく、聴講のみで参加された方も、指導のテクニックの参考になったと満足をされた方が多くおられ、ぜひまた関西で開いてほしいとの声を多くいただいた。開かれた声楽界の足掛かりになればと思っている。

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