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教育史学会会員意識調査

白水 浩信

教育史学会創立50周年記念事業の一環として、はじめての本格的な会員調査が行われた。増井三夫氏 (上越教育大学) および羽田貴史氏 (広島大学) が発起人となり、会員調査実施のためのワーキンググループが組織され、私のほかに柏木敦氏 (兵庫県立大学)、新保敦子氏 (早稲田大学)、橋本伸也氏 (広島大学) さらに教育社会学の分野から松岡律氏 (兵庫教育大学連合大学院) に専門的な統計処理の指南役として参加していただき、2004年春から具体的な活動を開始した。

この会員調査の主たる目的は、学会での活動および教育史研究・教育の現状を把握することにあった。教員養成系学部の再編と実践志向の高まり、これに呼応して学生の教育史への関心の低迷といった教育史研究をめぐる困難な状況を、個々の会員の抱えている具体的な問題や課題、学会への期待 (ないしは失望) を通して客観的に把握し、今後の学会活動を検討する基礎データを収集することがその重要な使命であった。

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調査項目として設定したのは、世代・研究分野・職種、学会発表・学会誌投稿に対する姿勢、また教育史研究は教育学か歴史学かといった会員の研究スタンス、学生への教育において何を重視するのかといった教育史教育に関するものなどである。2004年夏に質問紙を発送し、回答を回収した結果、残念ながらサンプル数は会員全体の22.4%にとどまり、当初期待していたサンプル数を多少下回ってしまった。2004年秋には、教育史学会大会 (法政大学) のコロキウムで第一次分析・検討結果を中間報告し、理事会役員をはじめとした参加者と議論・意見交換を行った。この中間報告会を承け、さらにワーキンググループ内で最終的な分析・検討の詰めを行い、学会誌に報告書として掲載されている (「会員調査にみる教育史学と学会に対する意識構造」、『日本の教育史学』、第48集)。

今回の調査の注目すべき結果の一つとして、やはり学生の教育史離れが顕著に浮き彫りにされたことがあげられる。教師の実践力強化が声高に主張されるなか、多くの会員が教師を志す学生の歴史認識不足、歴史への無関心を憂慮している。教育をめぐる困難な現実を切り拓き、その将来を展望するような力量は、歴史的視点を抜きに考えられないはずである。その意味においても、今日、教育史学会に課された使命は重く、本調査が学会の存在意義を再考する一つの契機となれば幸いである。

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